うたかたの日々

第2話 「ギルドの晩餐第1章」 

 こんにちは。来週からお料理教室が始まります。

いつもの皆様、初めましての方、お久しぶりの方にも毎月お会いできるのをとても楽しみにしています。どうぞ、今月もよろしくお願いいたします。

 今日はある夏の日の回顧録。


ようやく長い冬が終わり、夏がやってきたと思えば、その地域の夏は約1ヶ月ほどで、すぐに過ぎ去ってしまう。

その年の夏は、変わった訪問者がドイツからやってきた。

彼らは、ギルドに属していて、その中でも大工、カーペンターに属していると言っていた。

ギルドとは、中世の時代に西欧でできた商工業組合のことである。確かそうである。世界史で習った私の記憶では…

まず驚いたことは、いまだにギルドというものが存在している事。歴史好きの私には、その事実だけでも心が躍った。


ドイツからやってきた20代の男の子二人組は、とても変わった格好をしていて、世界中を大工をしながら旅していると言っていた。

そして、変わっているが、とても素敵なお揃いのお洋服を着ていた。

それは、中世の時代を思わせるような、お袖がたっぷりとした、まるで騎士団が着るような襟なしのコットンの白いブラウスに、黒いベロアのベスト。パンツも黒いベロアで出来ていて、たくさんのポケットが付いている。つばの浅い、黒い帽子をちょこんとかぶっている。

彼らはいつの時も、このお洋服をきていると言っていた。

実は、この格好は中世の時代に大工のギルドが着ていたお洋服なんだと。

見た目は、古めかしすぎて、逆におしゃれというか、仮装している様にも見えるのだが、理にかなった機能が満載のお洋服であり、それぞれの持つ意味を教えてくれた。

パンツにたくさんのポケットがあるのも、道具や、釘を入れるためのポケットであることなど…
見た目以上にこの格好はとても機能的であると言っていた。


そんな彼らは、バンや古くなった家を修復するために滞在していった。

毎日朝から日が暮れるまで大工仕事をする彼ら。あっという間に2週間ほどが過ぎ、次の国へ旅立っていった。

目指すはオーストラリアだとか言っていたっけな?。。。。

そんな彼らが去った、休日に家主の奥様と、シェフ仲間のジェイと私の3人でディナーをする機会があった。

いつものごとく、テーブルセッティングをして、キャンドルに火を灯す。

その日の前菜は「サディーンのセビーチェ」

セビーチェとは確かスペイン語でカルパッチョの事。

私の大好物のひとつである。


ここでレシピの紹介

簡単すぎて、レシピというほどでもないが、、、、

「サディーンのセビーチェ」

<材料>
小鰯、エシャロット、ラディッシュ、実山椒の塩漬け、摘みたての柔らかい葉のパクチー、レモン、ソルト、ペッパー、exヴァージンオリーブオイル

<作り方>
1小鰯(サディーン)は手開きにし、骨を取り除き、キッチンペーパーで皮を外す。水気を切り、バットに並べexヴァージンオリーブオイルをふりかける。

2エシャロットはみじん切り、ラディッシュは薄くスライス。

3器に1を盛り付け、レモンを豪快に絞り、ソルト&パッパーをかける。2を散らし、パクチーの葉の部分を知らし、塩抜きした実山椒の塩漬け、レモンを添えて出来上がり。


さあ召し上がれ。


その日のディナーはいつものごとく私の大好物の前菜とシャンパンから始まった。


たわいもない会話が進むにつれて、実はどのタイミングである話題を切り出して良いのかと、私もジェイもそわそわしていた。


前菜の後にフォアグラのお料理をマダムが作ってくれる事になった。

ちなみに、この日は留守中の家のお留守番をしていた私たちへのご褒美的なディナーであったのだ。

マダムの作ってくれたお料理はこちら。

「プリザーブドしたプラムとフォアグラのソテー」

お次は、このレシピの紹介。

と、言いたいとこだが、続きがまだまだあるので今日はこの辺で…


おやすみなさい。ごきげんよう。


第1話 「チューリップボーイのヒヤシンス」

 こんにちは。まだまだ暑いですが、秋の気配も感じる今日この頃です。暑いので、冬の記憶を蘇らせて、気持ちだけでも涼しくあろうと、ある冬の日の回顧録。

 いつ頃からだろうか?長い長い冬の地域で過ごしてからではないだろうか?

冬が好きになったのは…

その地域では、7月の頭でも確かマイナスを記録していた。

この長い冬はいつ終わり、春はいつやってくるのだろうという事ばかり考えていた。

窓辺から見える雪景色は絵画の様でそれが私の癒しであった。

 ダイニングには大きな暖炉があり、日中は暖炉の前に椅子を持ってきて紅茶を飲んだ。夜になれば、仲間達とワインを飲みながら語り合う。外は雪で閉ざされた世界なのである。

暖炉の火が消えかけたら、大きな天板に焦げた丸太をのせ、スモークハウスへと運ぶ。スモークハウスの中心にそれをおき、チップをちらして煙を作る。

スモークハウスには、ポーク、ダック、ベニスン、ラム、サーモンが入っている。その冬には丁度手に入った鰆もあった。


鰆のスモークは、日本から移住した寿司職人のおじさんが教えてくれた。


そう。ここは日本ではない。


これから、私が住んだ事のある国の思い出を記録していこうと思っている。

昔の様で昔ではない、私がヘブンと呼ばれていた場所に住んでいた時の記憶。
記憶が鮮明なうちに…

 その冬は、けがに見舞われる事の多い冬だった。

オイスターナイフで左手の中心をひどく刺してしまい、大きな怪我をしてしまった。
そして、私は通院することになる。

ある日、滞在先のご夫婦が仲良くしているチューリップボーイが街の病院まで私を連れて行ってくれることになった。

チューリップボーイは愛称で、彼の名前はダニエル。

ダニエルがチューリップボーイと呼ばれるわけは、毎年私の滞在先に1000個ものチューリップの球根を届けてくれるからだ。


街へ向かう道すがら、ダニエルは自分の事をたくさん話してくれた。

昔は自転車の選手で、怪我をしたことで今は公務員であること。親戚が交響楽団で演奏していること。年老いた両親と一緒に暮らしていること。自宅の敷地が広いので、色々と栽培していること…

私が住んでいた場所は別荘地で、この辺りに住んでいる人みんなゴルフ場の様な広大な敷地に住んでいる人ばかりであった。

勿論、私の住む家も、敷地の端から端まで徒歩で移動すれば、1時間ほどはかかった。気づけばお隣の敷地に足を踏み入れたことも何度かある。

 ダニエルとは30分ほどだが色々な話をした。クラッシックが好きな私に、今度一緒にオーケストラを聞きに行こうと誘ってくれた。

私は「ぜひ!」と答えた。


そうこうしている間に、街の病院に着き、その後はダニエルの買い出しに付き合った。

今日のお礼にと、私はスーパーで食材を買い、ランチを作ることになった。

帰宅すると、玄関でダニエルが私にある物をくれた。

それは、鉢植えの香りがとても良いヒヤシンスであった。

突然のプレゼントに驚いたのと、ヒヤシンスをこうやってまじまじと見るのは小学生以来だと思った。


スーパーには沢山の切り花がある中で、球根の長く楽しめるヒヤシンスをこっそり買ってプレゼントしてくれる所に心遣いを感じた。さすがチューリップボーイと呼ばれるだけあるな。なんてことも思った。


お部屋に飾ればよかったが、私のお部屋は屋根裏部屋で、小さな窓が一つと、大きなベットがあるくらいなとても簡素なお部屋だったので私はそれを、みんなも楽しめる様にとダイニングに飾った。


帰宅して、早速ランチの準備に取り掛かった。作ったのは「ルッコラと生ハムのオイルパスタ」。
スーパーで一緒に物色している時に、美味しそうなルッコラを見つけたので、「ルッコラ好き?」と聞いたら「大好きと」答えてくれたので、このメニューになった。

ここで作り方の紹介。

「チューリップボーイのルッコラと生ハムのパスタ」

材料
ガーリック2片、エキストラバージンオリーブオイル適量、赤唐辛子1本、ルッコラ適量、生ハム適量、パスタ約180g(ディチェコのフェデリーニ使用)

作り方
1大きな鍋にたっぷりのお湯を沸かし、塩を適量。ルッコラは大胆に3等分ほどに切る。ガーリックはスライス。

2冷たいフライパンに刻んだガーリックとエキストラバージンオリーブオイルを適量。弱火で加熱しながらガーリックがキツネ色になるまで炒める。

3その間に1で沸騰させた鍋にパスタを入れ茹でる。

4茹で上がったパスタをザル上げする。この時に1カップほど茹で汁は取っておく。

5 2のフライパンに4のパスタ、種を取った赤唐辛子、茹で汁を60ccほど入れてオリーブオイルと乳化する様に中火で加熱しながらぐるぐると混ぜる。

6器に盛り付け、ルッコラと生ハムをちらして黒胡椒をかけて完成。

 

 さあ、召し上がれ。


できたお料理に彼はとても喜んでくれた。

帰り際に、今日のランチのお礼を言ってくれ、ほっぺにすごい勢いでキスをしてくれたが、そういった風習に慣れていない私は引きつった笑顔だったと、今思い返すと思うのである。


その冬以来、私の大好きなお花となったヒヤシンス。

今ではヒヤシンスの球根が出回る時期に毎年ヒヤシンスを植えたり、水耕栽培で楽しむ習慣がついた。


冬の間は、私のベットサイドにヒヤシンスが置かれる。


飼い猫ゾーイは匂いは嗅ぐが、ヒヤシンスは食べようとはしない、とてもお利口さんな猫なのである。


あの時、本当はベットサイドに置きたかったお花を、毎年こうして置ける事が私の冬の楽しみである。


今日はこの辺で…

ごきげんよう、さようなら。

8月のお料理教室空席状況の更新

8月のお料理教室空席情報です。

8月21日月曜
午前、午後の部共に満席


8月22日火曜
午前、午後の部共に満席

8月23日水曜
午前の部ー空1席(満席となりました)
午後の部ー満席

8月24日木曜
午前の部ー空1席
午後の部ー満席

8月25日金曜
午前、午後の部共に満席

8月28日月曜
午前、午後の部共に満席

8月29日火曜
午前、午後の部共に満席

8月30日水曜
午前、午後の部共に満席


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キャンセルが出ましたのでお知らせです。

ご予約はHPよりお願い致します。

皆様のご参加心よりお待ちしております。